ロボットモノ作品へのコメント

以下、新規追加分への紹介コメント。

アース・リバース (角川スニーカー文庫)

アース・リバース (角川スニーカー文庫)

三雲岳斗作品ならコレ。余談だけど、この人必殺技に陳腐な名前をつけたり、叫ばせたりする悪癖がなくなれば(せめて叫ぶ必然性ぐらい考えてくれ)もう少し読めるのだが。
アース・リバースは地下空洞にて、電磁波の乱流の中を飛びまわるマシンのお話。電磁流体力学的な翼をもち、強力な電磁波のために銃器類が使いづらいため、空飛んでの肉弾戦がメインになる。こういう燃える展開をやるためだけに設定されたような世界がよい。


北欧神話っぽいベースを持つわりと本格的なファンタジーであり、一国の姫を巡っての王子(レオベルク、ヒースクリフら)のせめぎあいや国の興亡、さらに神話的なマシンの登場に対して反存在ともいえる悪魔達が現われて……と、ダークファンタジーっぽくなってきたあたりで未完で途切れているなんとも惜しい作品。
ロボットモノとしては、剣と弓矢レベルのチャンチャンバラバラだが、集団戦闘から一騎打ちまでそろえられており、見ごたえがある。


重騎と呼ばれる人型機械が……まあこの小説は、どちらかといえば妙ちきりんな文章構成と、1944年で停滞した巴里に異分子として入り込むというそのネタの面白さによる作品だろう。重騎の対決はケレンたっぷりで面白いのだが、それがメインかというとやはりちとずれる。


この世界ではロボットは有人弾頭と呼ばれる。母機から大出力カタパルトで打ち出され、テレポート(ヒトの才能に拠っているのでワープというよりはテレポート)して敵陣中央につっこみ、これを制圧するという無茶苦茶な、しかし非常に燃える設定を持っている。
物語としては実はロボットモノというよりは、圧政に対するレジスタンス活動を主軸にした物語であり、ならずもののリーダーに過ぎない主人公の少年がどう成り上がっていくのか、というあたりが楽しみな作品だったのだけれど、最初の騒乱が終わったところで2冊で打ち切り。嗚呼……
杉原智則は物語書きとしてはいい腕をしている(シリアス系のストーリーテリングをやらせるとめっぽういい作品を書く傾向にある)のだが、いかんせん個別のネタの受けがそれほどよくないようだ。
ノベライズだが、エウレカセブンISBN:4044300054)もロボットモノで、これも非常に面白い。


ガンヘッド正伝―蘇る機神 (角川文庫―スニーカー文庫)

ガンヘッド正伝―蘇る機神 (角川文庫―スニーカー文庫)

ロボットモノの中ではこれがマイベスト。ノベライズといえばそうだが、映画とはほぼ別物。
荒廃した未来においてトレジャーハンターを続ける無法者達、誰も返ってきたことのない未知の島、カイロンへの挑戦、未知の敵に脅かされながらの探検、仲間の死、ボーイ・ミーツ・ガール、ガンヘッドという素敵なメカとの邂逅、己の過去との遭遇、そしてラストのエア・ロボットとの対決――と、まったく飽きさせない。
これには前史としての物語が存在し、このガンヘッド誕生編では、ガンヘッドは倒すべき敵として設定されている。
ガンヘッド〈1〉銀光の狂獣 (角川文庫―スニーカー文庫)

ガンヘッド〈1〉銀光の狂獣 (角川文庫―スニーカー文庫)

ガンヘッド〈2〉朱き荒野の狩人 (角川文庫―スニーカー文庫)

ガンヘッド〈2〉朱き荒野の狩人 (角川文庫―スニーカー文庫)

こちらも非常に熱い。ハードボイルド……というよりはバイオレンスか。描かれる情念というのが半端でなくどす黒く暑苦しいシロモノで、後頭部がカッカするようなアクションシーンと合わせてなんともクールで暑苦しい。(参考として、他サイトの感想を上げておきます→http://www.geocities.co.jp/Playtown-Bingo/8458/gunhead.html
これらは正伝とあわせて、「理性により制御され、かわりに停滞していくのか、それとも暴力により自己破壊していくのか、そのどちらかに揺れ動きながら生きていくしかないのか」といったようなテーマをいちおう、扱っており、この2冊はいってみれば暴力の章である。完結編である正伝のまえに、おそらく「知恵/理性」の章が予定されていたのだと思うが、結局、それは刊行されることはなかったのが、なんとも残念ではある。
そういやバルドバレットに設定をきれいにパクられてましたっけ。これは余談。


バトルテック〈1〉グレイ・デス軍団の誕生 (富士見文庫―富士見ドラゴン・ノベルズ)

バトルテック〈1〉グレイ・デス軍団の誕生 (富士見文庫―富士見ドラゴン・ノベルズ)

銀河に広がった文明が衰退を始めたころ、科学全盛の時代に作られた巨大人型兵器“メック”は無敵の存在であった……といったようなノリで、メックはひと財産であり、代々家に伝わる家宝のように描かれたりと、このあたり、他の作品とは一味違う。ボードゲームになったり、ゲームセンターで搭乗型筐体による対戦ゲームになったりしている作品だが、小説では惑星間航行可能な宇宙船はあるけれど、ガタがきていてちと心配、というような世界観での傭兵稼業のお話が、なかなか魅力的に描かれている。そもそも翻訳モノなので、あちらのロボット観はやはり一味違うのだろう。


一部で熱く紹介されていた覚えがあり、読みたいのだが手に入らない。


しかし……絶版が多くて泣けてくるなぁ……。


ちなみに既リストに既読のものはあまりないが、なかでは

このあたりがイチオシ。
E.G.コンバットの、秋山瑞人がその趣味と才能をつっこんで描写したメカ描写はそんだけでご飯が食べられる。
聖刻1092は長期シリーズで、シリーズがくだるごとにズッコケて来るのだけれど、初期の勇壮さが印象深い。
鉄甲巨兵SOME−LINEはパロディではあるが、きっちり巨大ロボットアニメのお約束を踏まえているだけあって、ロボットモノとしても単純に面白い。馬鹿だけど。そうま竜也のイラストがこれがまた良い出来。


しかしまあ、リスト化してみれば結構な量があるもんですな。